2013年06月07日(金)
【番】知られざる物語 京都1200年の旅「宇治に薫る茶の心」
カテゴリ【番】:京都の番組
~京都がテーマの番組の紹介、感想です。
BS朝日で放送されている京都の伝統文化、自然、寺社などを紹介しながら1200年の歴史をひもといて行く知的エンターテイメント番組。お茶の間にいながら京都に行った気分になれる貴重な番組。京都を思わせるようなゆったりかつ重厚なテーマ曲や升毅さんの柔らかなナレーションも魅力です。録画したDVDを見ながら眠ると幸せな気分で眠れます。そんな素敵な番組を紹介していきます。必ず再放送もあります。
私達の暮らしの中に、深く根付いた「お茶」は京都と深いつながりのある文化。 特に、京都市の南東に位置する宇治市は美味しい茶葉の名産地として全国的に知られ、古くから茶と共に歴史を重ねてきた場所。風情あふれる茶店が軒を連ねる宇治の地で、茶の物語をひもときます。 (番組HPより)
今回は、茶処で名高い宇治を茶から見た視点で紹介していきます。オープニングの茶の販売店が並ぶ道は確か平等院へ行く道で、何年か前に平等院を訪ねた際に歩いた覚えがあります。
宇治川のほとり、鳳凰堂の向かいの対鳳庵は宇治市市営の茶室、市営の茶室があるというところが、さすが茶処です。将軍の御茶師として茶を作り続けた上林春松家の創業は安土桃山時代、現在も残る上林春松本店の建物は450年前のもので現在は宇治・上林記念館として利用されています。展示品には納めた茶の袋の口が開いていたことを咎める秀吉からの手紙も。このクレームが縁で宇治が茶処として発展し、他にも利休に茶を納めたり、江戸時代を通じてお茶壷道中で将軍家に茶を納め、上手く権力とのつながりを保ち続けていました。将軍家の威光を示すためのお茶壺道中は明治維新直前まで続いていましたが、それだけ宇治の茶が上質である証なのでしょう。茶は合組という茶葉を混ぜる割合で各店の特徴を出すのですが、店の個性が合組で表現できるので、宇治にこれだけ茶店が並んでもやっていけるという話にはなるほどと思いました。ただ、レベルの高い店が集まっているからそれは可能なことなのでしょう。ちなみに抹茶は、現代の機械引きでも1時間40グラム程度しかとれない手間のかかるものだそうです。
奥の山茶園は室町から続く宇治で一番古い茶園で足利義満が保護した宇治七銘柄の一つ。現代も残っているのはこちらだけです。茶畑には一面に黒い覆いがかけられています。これは覆下栽培という栽培法で、直接太陽に当てないことで渋みが押さえられ甘味が増し上質な茶が製造できます。一方、露天で栽培した茶は煎茶やほうじ茶、番茶になるのですが、日本茶の種類は沢山あっても、茶の木自体は一種類だけというのは初めて知りました。覆下栽培から生みだされる茶葉を蒸して手もみしながら乾燥させると玉露、手もみせずに乾燥させ石臼で引くと抹茶になります。玉露は、最後のしずくがおいしいことから珠の露、それが玉露の名の由来です。
ここからは茶の伝来から、日本に茶が広まるまでの話になります。比叡山のふもと、坂本にある日吉茶園は最澄が唐から初めて日本に持ち帰った種に起源があります。その当時の茶は団茶といい、茶葉を蒸し、臼ででついて固め、飲む時は必要な分だけ粉にして煎じるというスタイルでした。その後、臨済宗の開祖、栄西が茶を広めました。栄西が『喫茶養生記』を現わしたことでもわかるようにその当時、茶は薬として考えられていました。その当時の中国の最先端の茶の飲み方が抹茶です。高山寺には栄西から受け取った数粒のお茶の種を明恵が播いたという茶園があります。京都検定を勉強している人にはおなじみの話ですが、これが京都で初めて作られた茶園です。ある意味茶の聖地といえるでしょう。
異国情緒あふれる宇治の萬福寺は、明から来日した隠元が自分が明で住んででいた寺を模して建てたもの。時代劇では長崎や唐人寺としてよく使用されます。隠元は、隠元豆や大陸の文化芸術を日本に伝えましたが、そのうちの一つが煎茶です。その当時はやかんに茶を入れ直火で沸かして飲んでいました。手軽に茶を入れるために急須を使用することを始めたのは、萬福寺の売茶堂に祀られる煎茶道の祖、売茶翁月海です。こうして茶は一般庶民にもコミュニケーションツールとして広まっていきました。
永谷宗円はお茶漬けで有名な永谷園の祖。煎茶造りの工程に手もみを加え、庶民の飲む茶の質を高めました。生家は今も残されており、その向かいは茶宗明神社として神になっています。
中村藤吉本店は製茶工場をカフェとして開放しています。宇治のふきよせ、抹茶を練りこんだシフォンケーキ、竹の容器に入った生茶ゼリイなど、和と洋の調和した新たな茶のスタイルを追求しています。かつては薬として飲まれていた茶が、現在は形を変えて広がっているのです。
ラストの猿之助さんの言葉は「千変万化」一種類しかない茶と言う植物が、薬から美術工芸、精神文化、食文化にも影響を与えていく姿が千変万化という言葉を思わせるとのことです。
番組HPはこちら
再放送はBS朝日 6/18 22:00~
~京都がテーマの番組の紹介、感想です。
BS朝日で放送されている京都の伝統文化、自然、寺社などを紹介しながら1200年の歴史をひもといて行く知的エンターテイメント番組。お茶の間にいながら京都に行った気分になれる貴重な番組。京都を思わせるようなゆったりかつ重厚なテーマ曲や升毅さんの柔らかなナレーションも魅力です。録画したDVDを見ながら眠ると幸せな気分で眠れます。そんな素敵な番組を紹介していきます。必ず再放送もあります。
私達の暮らしの中に、深く根付いた「お茶」は京都と深いつながりのある文化。 特に、京都市の南東に位置する宇治市は美味しい茶葉の名産地として全国的に知られ、古くから茶と共に歴史を重ねてきた場所。風情あふれる茶店が軒を連ねる宇治の地で、茶の物語をひもときます。 (番組HPより)
今回は、茶処で名高い宇治を茶から見た視点で紹介していきます。オープニングの茶の販売店が並ぶ道は確か平等院へ行く道で、何年か前に平等院を訪ねた際に歩いた覚えがあります。
宇治川のほとり、鳳凰堂の向かいの対鳳庵は宇治市市営の茶室、市営の茶室があるというところが、さすが茶処です。将軍の御茶師として茶を作り続けた上林春松家の創業は安土桃山時代、現在も残る上林春松本店の建物は450年前のもので現在は宇治・上林記念館として利用されています。展示品には納めた茶の袋の口が開いていたことを咎める秀吉からの手紙も。このクレームが縁で宇治が茶処として発展し、他にも利休に茶を納めたり、江戸時代を通じてお茶壷道中で将軍家に茶を納め、上手く権力とのつながりを保ち続けていました。将軍家の威光を示すためのお茶壺道中は明治維新直前まで続いていましたが、それだけ宇治の茶が上質である証なのでしょう。茶は合組という茶葉を混ぜる割合で各店の特徴を出すのですが、店の個性が合組で表現できるので、宇治にこれだけ茶店が並んでもやっていけるという話にはなるほどと思いました。ただ、レベルの高い店が集まっているからそれは可能なことなのでしょう。ちなみに抹茶は、現代の機械引きでも1時間40グラム程度しかとれない手間のかかるものだそうです。
奥の山茶園は室町から続く宇治で一番古い茶園で足利義満が保護した宇治七銘柄の一つ。現代も残っているのはこちらだけです。茶畑には一面に黒い覆いがかけられています。これは覆下栽培という栽培法で、直接太陽に当てないことで渋みが押さえられ甘味が増し上質な茶が製造できます。一方、露天で栽培した茶は煎茶やほうじ茶、番茶になるのですが、日本茶の種類は沢山あっても、茶の木自体は一種類だけというのは初めて知りました。覆下栽培から生みだされる茶葉を蒸して手もみしながら乾燥させると玉露、手もみせずに乾燥させ石臼で引くと抹茶になります。玉露は、最後のしずくがおいしいことから珠の露、それが玉露の名の由来です。
ここからは茶の伝来から、日本に茶が広まるまでの話になります。比叡山のふもと、坂本にある日吉茶園は最澄が唐から初めて日本に持ち帰った種に起源があります。その当時の茶は団茶といい、茶葉を蒸し、臼ででついて固め、飲む時は必要な分だけ粉にして煎じるというスタイルでした。その後、臨済宗の開祖、栄西が茶を広めました。栄西が『喫茶養生記』を現わしたことでもわかるようにその当時、茶は薬として考えられていました。その当時の中国の最先端の茶の飲み方が抹茶です。高山寺には栄西から受け取った数粒のお茶の種を明恵が播いたという茶園があります。京都検定を勉強している人にはおなじみの話ですが、これが京都で初めて作られた茶園です。ある意味茶の聖地といえるでしょう。
異国情緒あふれる宇治の萬福寺は、明から来日した隠元が自分が明で住んででいた寺を模して建てたもの。時代劇では長崎や唐人寺としてよく使用されます。隠元は、隠元豆や大陸の文化芸術を日本に伝えましたが、そのうちの一つが煎茶です。その当時はやかんに茶を入れ直火で沸かして飲んでいました。手軽に茶を入れるために急須を使用することを始めたのは、萬福寺の売茶堂に祀られる煎茶道の祖、売茶翁月海です。こうして茶は一般庶民にもコミュニケーションツールとして広まっていきました。
永谷宗円はお茶漬けで有名な永谷園の祖。煎茶造りの工程に手もみを加え、庶民の飲む茶の質を高めました。生家は今も残されており、その向かいは茶宗明神社として神になっています。
中村藤吉本店は製茶工場をカフェとして開放しています。宇治のふきよせ、抹茶を練りこんだシフォンケーキ、竹の容器に入った生茶ゼリイなど、和と洋の調和した新たな茶のスタイルを追求しています。かつては薬として飲まれていた茶が、現在は形を変えて広がっているのです。
ラストの猿之助さんの言葉は「千変万化」一種類しかない茶と言う植物が、薬から美術工芸、精神文化、食文化にも影響を与えていく姿が千変万化という言葉を思わせるとのことです。
番組HPはこちら
再放送はBS朝日 6/18 22:00~
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