FC2ブログ

    【石】但称の石仏を巡る~その4 広沢池

    カテゴリ:【石】京都の石仏~雨の日も風の日も京の街を山を水辺を護り続ける"いしぼとけ"達


    ミニブログコーナー:10月に開催される茅ヶ崎のサザン芸術花火に行けることになりました。先行予約は外れてしまったのですが、知り合いが当たったので夫婦で連れて行ってもらえることになったのです。初回だった昨年、私は遠いので行かなかったのですが、とても感動的なものだったそうで、今から楽しみにしています。
    京の但称仏を探して、烏丸高辻の因幡薬師、山科の本圀寺、御室の蓮華寺と巡ってきました。今回はそもそものきっかけとなった、広沢池の十一面千手観音像を訪ねてみました。冬の嵯峨野に小雪がぱらつく、抒情的な風景です。

    広沢池(鯉揚げ時)_R01.02.10撮影
    広沢池(鯉揚げ時) R01.02.1010撮影

    広沢池はちょうど鯉揚げの時期でした。ここでは冬の時期に池で養殖している鯉やもろこを捕るため、池の水を抜くのです。そのため、いつもは見えないグレーの池底が見えています。鯉揚げは夏の送り火の際の灯篭流しともに、嵯峨野の季節の風物詩となっています。

    広沢池(春)_H26.04.05撮影
    広沢池(春) H26.04.05撮影

    広沢池は大覚寺の大沢池と並び、かつては多くの時代劇ロケ地として使用されていました。しかし、東岸側の開発や時代劇自体の製作も減ったこともあり、残念ながら、現在はロケ地として見かけることは少なくなってきています。

    広沢池・観音島_R01.02.10撮影
    広沢池・観音島 R01.02.10撮影

    最近では池の西側から突き出した観音島で、たまにロケが行われる程度です。観音島は明治中期に造られた人工島で、観音像のある大きな島と弁天堂のある小さな島で構成されています。

    広沢池・弁天堂跡_R01.02.10撮影
    広沢池・弁天堂跡 R01.02.10撮影

    昨年の台風の影響でしょうか。島の先端にある弁天堂のお堂は吹き飛ばされ、土台だけになっていました。後ろの松の木も半分倒されているような状態です。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像 R01.02.10撮影

    但称の造った十一面千手観音像は、ちょうど池を見守るような形で安置されています。像の高さは約160センチ、大きな自然石の上に置かれています。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像・頭部 R01.02.10撮影

    頭部がふくよかな童顔で大きいことが、但称仏の特徴ではありますが、こちらの観音像は頭部が参拝者の目線よりも高い場所にあり、また台座の石のせいで像のすぐそばには寄れないので、頭部の大きさはあまり感じません。全体としてバランスの良い印象があります。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像・頭部 R01.02.10撮影

    頭部は上体が欠けてしまった正面の立像を挟んで両脇に5面ずつあります。通常、十一面観音像は、頭部を冠のように顔がぐるり取り巻いていますが、この像では真後ろに顔は作られていません。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像・頭部 R01.02.10撮影

    さらに頭頂の1面は破損していますが、残り2面の表情はしっかりと残っています。


    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像 R01.02.10撮影

    2本の手は胸で合掌し、もう2本の手は腹の前で宝鉢をもっているようです。脇に飛び出しているのが、この像独特の千手の表現です。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像・千手の表現 R01.02.10撮影

    私はこの千手の表現がとても好きで、特に仏像に詳しいわけではないのですが、室内に安置する木像の千手観音像では、とうてい考えられないような斬新な発想だと思っています。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像・千手の表現 R01.02.10撮影

    数えてみると、片側に上向きの掌が3、下向きの掌が3×3列で12本、両側で24本の手、正面の手が2×2で28本の手を持っています。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像・千手の表現 R01.02.10撮影

    この表現のお蔭で野外の石像でも、見事な千手を今に残すことができました。背後から見ると、カニのように見えるところもユーモラスです。指先は多く欠けてしまっていますが、江戸時代初期製作の野外に置かれた石仏としては、状態はかなり良い方なのではないでしょうか。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像・背面の銘 R01.02.10撮影

    光の関係ではっきりと撮影できなかったのですが、背面の銘は「願主 本国伊勢生武州江戸住樋口平太夫家次(花押) 寛永十八年 月日造立之 作但称(花押)」と彫られているのが確認できました。

    広沢池・十一面千手観音像_R01.02.10撮影
    広沢池・十一面千手観音像(池底より) R01.02.10撮影

    この像も、京都の他の但称仏同様、元々は蓮華寺に安置されていたものですが、盗難などではなく、明治以降に地元の有志が蓮華寺から借用し、この場所に安置されています。蓮華寺にはその借用書が現存しているのだとか。

    十一面千手観音像の視線で見た広沢池_R01.02.10撮影
    十一面千手観音像の視線で見た広沢池 R01.02.10撮影

    現在も地元の方が島の手入れをされており、観音像の周りは常に清潔に保たれています。この観音像が今後もこの場所に、長く安置されていて欲しいものです。


    参考文献:
    「京の石仏」 佐野精一 1978(昭和53)年 サンブライト出版
    樋口平大夫と但称の作善」 川勝政太郎 1974(昭和49)年大手前女子大学論集8号
    「品川歴史館特別展 大井に大仏がやってきた-養玉院如来寺の歴史と寺宝」 品川区立品川歴史館 2013年発行
    ブログ「のんびり生きよう」 但唱上人の足跡(年表) 2013.11.04
    ブログ「のんびり生きよう」 京都 因幡堂(平等寺) 2014.11.11
    写真少年漂流記の旧サイト 続・蓮華寺から流失した石仏の謎 2010.11.4
    広沢池十一面千手観音像奇譚
    広沢池: 京都市右京区嵯峨広沢町(map)

    R01.09UP

    関連記事
    スポンサーサイト



    テーマ:京都 - ジャンル:地域情報

    2019.09.21 | | Comments(0) | Trackback(0) | 【石】京都の石仏

    【宿】三井ガーデンホテル京都新町別邸

    カテゴリ:【宿】京都の宿~サウナ、ゲストハウスも含めた泊まる京都をご案内します。個人的な感想にはなりますが、京都旅行のお役に立てば幸いです。


    ミニブログコーナー:我が家では今なぜか、楳図かずおブーム。スケールの大きさ では手塚治虫の「火の鳥」にも劣らない「14歳」を私が読み直している時に、あまり漫画を読まない妻に「漂流教室」をたまたま勧めたら、普段あまり漫画を読まない妻が面白がって、毎日読んでいます。さらにうちの弟は「漂流教室」の関谷ファン(笑)なので、来週、横浜からうちに呼んで、楳図かずおを語る会をすることになりました。
    三井ガーデンホテル京都新町別邸_R01.07.15撮影

    今回は東武トップツアーズを通して予約したので、普段宿泊する安めのビジネスホテルとは少し違います。祝前日の日曜日、和室チックなツインに1泊1人あたりで税込21,800円なので、私的には高級ホテルです。高いだけあって、チェックアウトが正午というのも大きな魅力。外観は入り口の部分が町家になっていて、建物はビルという町になじむ造り、正面と向かって左も町家なので、宿の出入りの際は京都の風情が楽しめます。

    新町通_R01.07.15撮影
    新町通から放下鉾 R01.07.15撮影

    山鉾が立ち並ぶ地区にあるので、祇園祭の時には祭の雰囲気を味わうには最高な立地です。先祭ではホテルの前の新町通にすぐ放下鉾、後祭では、南観音、北観音山が望める上に23時頃から行われる南観音山の「あばれ観音」も、宿のすぐそばで楽しむことができます。

    三井ガーデンホテル京都新町別邸・客室内_R01.07.14撮影
    三井ガーデンホテル京都新町別邸・客室内 R01.07.14撮影

    ・部屋の電源は入口でカードキーを挿すタイプ。
    ・カードキーは宿泊エリア、エレベータ、大浴場でも必要。大浴場で使うので男女で色が違います。
    ・カードキーは部屋番号の記載がないので、覚え忘れると面倒です。(私は忘れて廊下からフロントに電話しました。)
    ・エレベーターで1Fから上がる時は、カードキーをタッチしないと、降りる階のボタンを押しても「この階にはに止まりません。」のアナウンスが流れます。ちょっとわかりづらい。(チェックインの説明をよく聞くべし)
    ・館内Wi-Fi有。
    ・エアコンは部屋ごとに調整可能。
    ・部屋の風呂はユニットバス。
    ・電源はベッド脇に1個ずつと窓際に1個。
    ・部屋の電気製品は冷蔵庫 ポット 冷蔵庫 テレビなど。ドライヤーは大浴場に備え付けのもの有。
    ・大浴場は深夜でも使用可能。炭酸泉もありましたが、サウナがあればもっとよかった。
    ・近くにコンビニはありません。わかりやすくて近いのは、300m程離れた四条新町のセブンイレブン。
    ・門限は無し。午前1時から6時までは玄関が施錠されていますが、カードを忘れてもインターホンで対応してくれます。

    H31.07.14宿泊/H31.9UP


    関連記事

    テーマ:京都 - ジャンル:地域情報

    2019.09.06 | | Comments(0) | Trackback(0) | 【宿】京都の宿

    «  | HOME |  »

    タイムライン

    リンク


    京都市 ブログランキングへ

    にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 京都(市)情報へ
    にほんブログ村

    都の商売人様バナー
    都の商売人様運営サイト
    “空想の匣”

    プロフィール

    SOULKYOTO

    Author:SOULKYOTO
    東京生まれの東京育ち、でも魂は京都人
    自称・勝手に京都観光大使

    全記事表示リンク

    全ての記事を表示する

    カテゴリ

    カレンダー

    08 | 2019/09 | 10
    1 2 3 4 5 6 7
    8 9 10 11 12 13 14
    15 16 17 18 19 20 21
    22 23 24 25 26 27 28
    29 30 - - - - -

    検索フォーム

    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード

    QR