【時】必殺仕事人2016  感想

どこかの政党のキャッチフレーズに”愛しているから黙ってられない”というのがありました。私はその政党は全く支持していませんが、気持ちはまさに”愛しているから黙ってられない” 勝手にファンも制作者の一部という精神のもと、今回も、失礼を承知で率直な感想を書き綴っていこうと思います。

まずは毎年、冒頭で語っておりますが、私の文章を初めて御覧になる方もいらっしゃるので、私の必殺に対するスタンスから。よく必殺は前期・後期に分けて語られることが多いのですが、私は必殺は後期から入ったこともあり、また時代劇は、歌舞伎や能のように様式美を楽しむのもありだと思っているので、その要素の強い後期派を自認しています。もちろん、ファン歴33年ではありますので、前期と呼ばれる必殺を見て、その奥深さも十分理解しております。ただし、よく後期派というと馬鹿にされることもあるので、敢えて後期派を強調して名乗っている次第です。簡単に言えば、後期が好き・でも前期も面白い!という立場です。ちなみにどこから後期かという議論については、きりよく”新必殺仕事人”からと考えています。

上記のような考え方から、私は2007以降の必殺を”新後期”とよんでおります。ジャニーズ主体の必殺はもはや必殺ではないという方もいらっしゃり、その気持ちも十分理解できるのですが、私は、地上波で時代劇が激減している中、”新後期”が続いていることを、とても感謝しています。続いていかなければ、悪口だっていうことさえできなくなってしまうのですから。ジャニーズ、ジャニーズといっても、東山さん、松岡さんも十分ベテラン俳優です。
”金を貰って人を殺すのが仕事人、そうでなければ只の人殺し”という世界観と平尾昌晃先生の音楽世界さえ守って頂ければ、新後期、これからもずっと続けて欲しいと思います。

それを踏まえて、今回の感想ですが、正直、途中までは1時間で終われる内容だと思ってました。剣劇人でシリーズ終了後、2回目のスペシャル”主水、夢の初仕事”を見た時のガッカリ感のような気持ちです。結城の描写が妙に長く、展開もモタモタしている感じ。ところが、河原崎に与えられた三択あたりから俄然、面白くなって来ました。あそこで私は三つ目の選択は”死だ!”ということで、河原崎は殺されるものだと思っていました。そして最終的に朝比奈は仕置され、お絹は結城と仲直りして大団円というありきたりな結末を予想していたのです。ところが河原崎は金と立身出世の両方を選ぶ。しかも”いくら欲しい”問われて、目の前に出された"全部"と言い放つ。木村忠吾でもなくあまちゃんのパパでもない、笑顔の下に何か隠し持っているかのような、尾美さんの妙に底の知れないキャラが十二分に発揮されていたと思います。人間の隠し持つ生々しい欲望を最後まで見せてくれたことが今回のMVP。しかも途中で悪から脱落せずに、しぶとく生き残って最後に仕置されるまで行く。ここでも私は、結城が殺されるシーンで、動揺する描写があったことから、河原崎も朝比奈にも殺されるものだと思っておりました。あの場合、通常の1時間ものの時代劇だと、悪人が途中改心するけれど、それまでに悪いことしすぎてる、でもお裁きで獄門にするのもかわいそうということで、ストーリー上止む無く、殺されて途中退場というパターンなんですが、最後まで悪に加担させ、仕置の的まで行くというストーリーは秀逸。今回、結城が死ぬのも全く予想していませんでしたので、想定外の展開が面白さの一つでした。家族全員でくず餅のくだりは死亡フラグ立ちまくりでしたが。

仕事料は、久保田磨希さんのキャラから無理(失礼!)だと思うんですが、お絹でもよいから、吉原に身を売って作って欲しかった。もし私が描いたなら、はつが何らかの形で裏を知り、お絹たちが止める中、仇討ちに行く。その時に母がもし戻らなければ3番筋に頼みに行きなさいと言い残す。案の定、返り討ちにあい、子供達も秘密を知っているのではということで全員虐殺、お絹が瀕死で涼次のもとに向かい、恨みを晴らしてほしいとこと切れる。仕事料は涼次のあの前金25両。三番筋の下りが出てこなくなりますが、いかがでしょう。おそらく、結城家のあの結末は制作側でも議論があったのではと思います。しかし地上波のゴールデンでは、あの結末でないと今の不寛容社会では、必殺であっても受け入れられなかったかもしれませんね。ここはやむを得ないところかと思います。もしかして初めからそうさせないための久保田さんのキャスティングか?

仕事シーン、リュウに進之助は明らかに無茶だと思いますが、ステップアップのために涼次のサポート付であえて対峙させたと解釈しています。(そういえば的分けという言葉は初めて聞いた気が) 結果的に涼次はサポートはしませんでしたが。リュウが勝てたのは偶然の賜物、綱渡り的な勝利でした。小五郎チームは白兵戦の仕事人ばかりで援護型(ひも系)がいないので、ここは勇次、竜に続くひも系が欲しいところですが、涼次とかぶるんですよね。それにしても寺島さんの武人肌の狂人は素敵だった。自分を慕う幼馴染でも躊躇なく殺す殺人狂ですが、ラストは”やるなぁ”と自分を倒した相手を讃えて、笑顔で死ぬのは鳥肌モノでした。

今回、エンケンさんのエピソードが少ないのは残念でした。前回を引き継いで、仕事人であることへの葛藤がどうなったのか見たかったのですが、今回の出演シーンが少なかったのは、大河の影響のようです。また仕置シーンで前回不評だったアニメ入ってました。私は若干、見慣れた感もしてきたのですが、皆さんどうなんでしょうか?またエンケンさんの殺しのテーマは仕業人の”いざ行かん”に固定のようです。前回のお宮、仕業人の剣之介夫妻のエピソードがオーバーラップしてファンには嬉しい限りです。
あと音楽で言えば、小五郎が奉行所で結城の死を切腹で片付けようとしたことを、暗に抗議するシーン。あの理不尽さに仕業人のナレーションの曲を当て、音楽でも表現したのは本当にいい仕事だと思います。これも鳥肌が立ちました。ファンなら心の中で、宇崎竜童さんの”この世の川を見てごらんな。石が流れて木の葉が沈む、いけねえなぁ”のセリフが蘇ってきたはずです。
10/2追記:読者のご指摘で気づいたのですが、今回、陣八郎が妙にドライだったのは、前作のエピソードのせいでそうなったとも考えられるわけで、撮影時間の少ない中、前作を生かす最大限の表現だったかもしれませんね。

安田さん、ネットでは菅貫さん、岸田森さんの再来とまで書かれていました。私は加えて佐藤慶さんも含めたいです。”下町ロケット”の開発部長しか知りませんでしたが、あの蛇のようなヌメッとした雰囲気は余人には出しがたい。結城に”申し訳ないが介錯は無しということで”と言い放つところに特に残虐性を感じました。

良くなかったと思うところは、前述しましたが、前半、結城のくだりが多くて妙にテンポが悪かった。でも結城が死ぬ展開ならこれはやむを得ないかとも。また全般的にセリフ多すぎと感じました。冒頭の仕事シーンはお菊の説明入れない方が、締まったと思います。冒頭を仕事シーンから始める手法は、緊迫感が増すので、しょっちゅう使えないだけにもったいない。ラストの仕置シーンも涼次、小五郎セリフ多すぎです。特に小五郎のシーンは、あれだけ最初にしゃべってしまうと、最後の朝比奈の”せめて武士らしく”が生きてこない。またこれは個々人の解釈の違いになると思うのですが、今回、小五郎の最後の一太刀は怒りの鉄槌だとすると、前回、裏がばれたら妻でも子でも殺すとお菊に評されていた冷静冷徹な面とのズレがでてくるような気がします。それもあってなおさら、仕置は無言でクールに、そして、”せめて武士らしく” ”都合のイイこといってんじゃねえよ”の終わりが良かったのではと思ってしまいます。なんだかんだ言っても主水は、仲間と家族に一片のの愛情は持ちあわせていた、主水と差別化するには、小五郎が主水以上に冷静冷徹であることが存在意義になるのではないでしょうか。こうとふくの立ち位置も若干変わってきているようですので、小五郎のキャラ設定には十分注目していきたいと思います。

リュウは何となく成長の形跡は見えただけに、”新米なもので”は蛇足なような気がしました。回数としては3回目ですが、もう3年目です。ある程度、必殺に爪痕は残せていると思うので、若干、知念くんが可哀そうな気も。ただ”なんで助けてくれなかったんですか”というセリフでまだまだな所を残してくれたのは今後の伸びしろです。今のところの貸しは10年後には、一人前の仕事人になって返してほしいですね。

現代風刺の面では中途半端だったですね。グループアイドルに触れたいのか、JKビジネス?に触れたいのか、よくわからず、その辺りは今一つでした。

最後に全体で感じたことです。前回もそうでしたが、寺田さんの脚本は時代劇経験が必殺以外ほとんどないからだと思いますが、今回も時代劇のリアル感が希薄でした。時代考証じゃなく、時代劇のリアルです。武家の娘をお絹ちゃんとは呼ばないし、結城家もあれじゃまるで町人の家です。お給金も不自然ですし、そもそも原則、武士も打ち首とかになりません。そこが最後まで気持ち悪かつたです。ストーリーが良かっただけにもったいなかった。
今回も言いたい放題でABC、テレ朝、石原監督を始めとする松竹の皆様、出演者の皆様、本当にお疲れさまでした。来年も楽しみにしています。

追記:スクリプターに野崎さんの名前が出るとなぜか温かい気持ちになるのは私だけ?

関連記事
スポンサーサイト

テーマ:時代劇 - ジャンル:テレビ・ラジオ

2016.09.30 | | Comments(0) | Trackback(0) | 【時】時代劇の話

«  | HOME |  »

タイムライン

リンク


京都市 ブログランキングへ

にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 京都(市)情報へ
にほんブログ村

都の商売人様バナー
都の商売人様運営サイト
“空想の匣”

プロフィール

SOULKYOTO

Author:SOULKYOTO
東京生まれの東京育ち、でも魂は京都人
自称・勝手に京都観光大使

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

カテゴリ

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR